出版社 / 著者からの内容紹介
回復の見込みを絶たれ、尊厳死を選んだ母。逝く日、母は娘である著者に、その尊厳の証人となるべく本書を執筆するよう約束させた。女らしさの制限に縛られ、夢を見る空間-イマジナリーな領域-をもちえなかった母の尊厳を尊重し、その証人となることではじめて、著者は母の死を悼むことができる。それは、母の世代の女性が尊厳を主張するのをあれほど困難にしていた障害の重みを感じ、母系の連鎖の中にある自分を認識することでもある。母娘関係を核とするこうした縦の絆は、水平的な横の連帯にも発展しなければならない。それは、国籍・文化・社会的立場を異にする女性のあいだにグローバル化がもたらしている軋轢や不理解が、近年のフェミニズム理論と運動の飛躍を阻んでいる、と批判する著者からの提言でもある。
デリダの脱構築を背景に、ラカンの精神分析理論、スピヴァクの歴史への取り組み、カントの『判断力批判』などを縦横無尽に論じつつ、そこに貫かれているのは、亡き母の尊厳を尊重するというコーネル個人の道徳的実践への意思である。この理論に裏付けられた真摯さは、いわゆる「フェミニズム」に抵抗を感じてきた読者をも惹きつけるだろう。フェミニズム理論への斬新な道案内となる書である。
内容(「BOOK」データベースより)
ジェンダー概念の限界を超え、理想自我としてのフェミニズムを掲げる。現代思想書でありながら、母から娘へ、娘から母へ贈りたい、D.コーネル渾身の一冊。