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ここに描かれるのは、結婚適齢期の五人の女性たち。それぞれが、
理想的な結婚を思い描いたり、自分を活かす仕事をしようとして
いたりと、女性らしい様々な生き様を、女性らしい感じ方を中心
に描いた痛快な長編ドラマである。
このような作品で長編にするとストーリーがダラダラになって
しまいがちだが、ここは20~30代に直面する人生の葛藤が、
五人のキャラクター(その中でも三人がメイン)の個性に沿って
描かれるので、そんなこと感じさせない。
たとえば、結婚願望の強いリサはあの手この手を使って男を
落とそうと繰り返しているのに、独立願望の強い沙織は男なんか
気にもせず自分のやりたいことを探し続け、お局様で居続ける
康子は自分に何か誇りが欲しいと思って自分の城(マンション)
を手に入れるために躍起になる、といった感じだ。ここには
「女の正しい生き方」というものが説教くさく書かれているわけ
ではなく、「女が女であるが故に悩む生き方」が描かれている。
それが長編の中に順序立てて、しかも絡み合いながら進められて
いるのは驚くほかない。
そこに登場する脇役の男たちも、厳しすぎる男や、自身のない男、
女心がわからない男や、セクハラな男というだけの「悪い男」
というシンプルなキャラクターではなく、「男だから」こういう
ことになってしまう人間達として登場する。
主人公たちはそんな「男」たちとの関わり合い方に「女」として
苦労させられるのだが、単に「男との戦い」というものに帰結
しないで、その中でもよりよい関係を作ろうとする彼女たちの
人間的成長は、読む人にとって希望を感じさせる心地良い物に
なっていく。それが、何度も読み返したくさせるのだろう。
普段、ニュースで知る「ジハード」を見ている我々日本人は
「これのどこがジハード?」と思うかもしれない。しかし、
そもそも『ジハード』というのは、「心の悪を取り除く苦闘」
を意味するらしく、それをするのが「内へのジハード」。それ
よりも下位に位置される、外圧への反抗としての「外への
ジハード」…こちらのジハードがいつしか西洋文化への『聖戦』
へと変わっていったのが、本当らしい。
『ゴサインタン』など、宗教色のある作品を書く著者だからこそ、
本当の意味での心の中の『ジハード』というのが、日本人の生活
の中にもあることをこの作品で描こうとしたのではなかろうか?
この作品に宗教色は一切ないのだが、『ジハード』の本当の意味
を体現した小説としても評価できると私は思う。
宗教的な気持ちは一切持たないでももちろん十分楽しい。
というか、全体的にコミカルで、誰にでもすぐ読める。とくに、
異性の気持ちがわからずに、怒りばかりたまっている男女にこそ
読んで欲しい。世の中はやはり「男」と「女」で成り立っており、
その中で生きるしかないのだから。
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