文学の世界に生きてきた奥山万年准教授は、学問への命がけのこころざしなど一片も持たない最近の生徒たちに唖然とし、加速化する大学の専門学校化に唖然とする。学生の方も、授業というよりは文学を通して人生の機微について語り続ける先生に警戒を怠らない。そもそも両者のニッチはまったく異なるのだが、先生はそんなことはいっさい気にしないまま、きょうもレジスタンス活動を続けている。
英知の光がきらきらと降り注ぐ熱帯雨林の林床を、コレクターの虫網をあざ笑うかのごとく飛び回るチャイロホソコガネのように、先生はきょうも地表数センチメートルをブンブンと飛び回る。ページをめくるたびに飛び出てくる先生の迷講義と、それに振り回される学生たちのとまどいに読者は爆笑しないではいられないだろう。