原作「奈緒子」をこよなく愛し、読み続けてきた私にとって、この奈緒子の映画化は感極まるものがありました。奈緒子の舞台となっている島_壱岐。この島では、学校を含めたどの図書館にも奈緒子の漫画全巻が必ず揃えられています。私が奈緒子を知り、感銘を受け、この舞台となった壱岐に初めて訪れたときの感動は今でも忘れられません。奈緒子の風景は壱岐の風景をそのまま使った部分が多くあります。原作ファンとして、壱岐で映画を見ることを決意し、壱岐の知り合いの人と共に映画を見に行きました。ロケに参加された多くの方々や学生の方たちが今か今かと楽しみに待っている姿に、奈緒子は地域住民にこんなにも愛されているのだと知りました。
しかし、監督挨拶から場の空気は一変しました。壱岐でのエキストラ含めた撮影はほぼカットされていたのです。「すいません、あそこ、カットしちゃいました」まだ若い監督のその言葉に、この日を心待ちにしていた地域住民の方々の表情は曇るばかり。原作の象徴である猿岩をもカット。「思ったより小さかったから」が理由。上映が始まり、場に応じて笑い声が起きたり、ラストは涙を浮かべる方もいる中、近くにいた高校生は「駅伝の経験がない監督さんがやってるから仕方ないんだろうけど、こんなの本当の駅伝じゃありえない」そう呟いていました。壱岐の子供たちはほとんどが小学生の頃からマラソンや陸上競技を行い、中学、高校と駅伝に携わります。だからこそ、奈緒子は受け入れられ、愛されています。私自身、正直期待していた分がっかりしました。
これはあくまで壱岐の方々の立場としての意見なので、批判が多いのはやむを得ません。私は、期待外れこそすれ、ラストのシーンはやはり感動しました。役者さんについては私自信、脇役の選手の演技が良かったのではないかと感じました。
原作とはまた違う作品として見れば、それなりに評価出来るかもしれませんね。