本書は、量子力学の最新の知見、すべてはエネルギーであり、(観察)意識によってそれが左右されている、ということをもとに、新たな身体観、健康観を提言しようとしています。この方向性をもった本は今までにもありました。
けれども、すべてはエネルギーだ、ということをどうすればヒーリングに使えるのか。
ここの乖離がこれまでの本ではあいまいにされていました。
ひとりは医師でもある著者は、次のような、現代医学に抵触しない方法を提案します。
すべての不調、不具合はストレスが原因である→ストレスを解消できれば、病気も改善できる。
そして(インスピレーションによって得た)ヒーリングコードという大変シンプルなメソッドを示し、それがなぜ、いかにして病気を治すかには一切ふれず(まだ「細胞記憶」などは証明できない)、それがストレスを根絶できていることだけを科学的方法(心拍変動検査)によって証明します。
多くの難病が治ったというクライアントからの証言はもちろんあると言いますが、多くのヒーリング本が、その点に頼って経験則で主張しようとしたのと違い、現代医療の言葉にもできうるかぎりよりそい、再現性のある実験で証明しようとする姿勢が信頼できます。多くの人に向けて語りかけたいという熱い姿勢です。
本書で、ヒーリングメソッドは新しい実用段階に踏み込んだ気がします。
ヒーリングコードとは首から上の四つの部位に、少し離して指をかざしながら、アファーメーション的な言葉を唱えるものです。しかしそれに先だって、自分のいまの問題と昔同じ感情を感じたことがなかったか、さかのぼって考え、問題の原因、あるいは事件の記憶を見つけます。
これが難しいんじゃないか、と私は思いましたが(これが簡単に見つかれば苦労しない)、次の章ではそれを発見するための、いろいろな「心の問題発見検査」が示され、心理学者であるもうひとりの著者の得手が生かされています。細かいですが、かなりぐさぐさポイントをついてくれています。
ヒーリング自体は大変な効果実績があるようで、ぜひ試したいと思いますが、日本人にとっての問題は宗教かもしれません。
著者はこの方法を発見したとき、現代医療と抵触しないかどうかの他、聖書の教えに背いていないか、徹底的に検証したと言っています。本全体にわたって、キリスト教バイアスがあります。
そしてこのヒーリングコードのところでの許しの祈りやアファーメーションも、神の許し、愛などという言葉での文例がのっています。ここは自分なりに「一なるもの」とか「宇宙意識」とか、アレンジしてやればいいのかな、と思いますが、絶対的な力をもつ他者という神のイメージが、本書で唯一なじみにくい部分かと思いました。
ともあれ、量子力学の知見と、感情によるヒーリングを、生理学を介して結びつけた渾身の力わざには感服します。
この地点が2012年に向けての大いなる突破口となってゆくことを心から期待します。