私は精神科医です。統合失調症の患者を抱える家族と付き合ってきて、その苦悩の量は想像を絶するものがあると感じてきました。でも、そんなことは当たり前だよ、みんなで頑張ろうぜ、と患者である姉を世話する両親と主人公の弟。この小説には想像以上のリアリティがあると感じました。統合失調症の患者を世話する大変さが、実にそのもののように出ています。そして、この苦難の中で家族がお互いに自分を主張することなく、相手に与える愛を思う存分発揮するという物語です。こんな家族がいるなんて信じられない、でも信じたい、と思ったしだいです。まったくアメリカ人的ではないシャイな主人公が、自転車でアメリカを横断する中で、語られる家族の物語。ドキュメンタリーとしてもおかしくないほどの迫力を感じました。日々の診療に勇気付けられる作品です。ぜひとも、精神科の医療関係者必読!と推薦したい。