橋本武(現在98歳)は、戦後、公立のすべり止めだった灘校で、文庫本『銀の匙』だけを3年間かけて読むという空前絶後の授業を始める。明治の虚弱な少年の成長物語を、横道にそれながら丁寧に追体験していく。五感や季節感を大切にしながら進められる橋本の授業は、生徒の興味で脱線し、テーマを見つけた生徒はどこまでも調べていき、“個性"と出会っていく。一学年200人の中高一貫。6年間を繰り上がりで一教科一教師担当制の灘校で、橋本の『銀の匙』授業を受けられたのは30年間でわずか千人。『銀の匙』2巡めの昭和37年卒業組が「初の京大合格者日本一」。3巡め43年卒業組は、「私立初の東大合格者日本一」。実社会でも旺盛な好奇心で、教科書なき道を切り拓いていく彼ら。現在の東大総長・東大副総長・最高裁事務総長・弁護士会事務総長など、各界の頂点が“銀の匙の子"である。「燃え尽きない、一生学び続ける好奇心」を授けた授業を、橋本自身と教え子たちへの1年に及ぶ取材から解析した、21世紀の教育界、受験界への一つの回答になる感動の実用ノンフィクション。子育て本としても有用な1冊です。
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71 人中、65人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ほんとうに大切なこととは?,
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レビュー対象商品: 奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち (単行本)
戦後の間もないころ、まだ無名だった灘中学で、現代国語の授業に、検定教科書を使わず、『銀の匙』だけを3年間かけて 読み解くという授業をおこなった橋本武(通称、エチ先生)のことを、 その奇跡の授業を受けた教え子たち(日本弁護士連合会事務総長だったり、 最高裁判所事務総長だったり、元東大総長だったり・・・すごい顔ぶれ) に、当時の授業やエチ先生のことを回想してもらう形で、 (もちろん、エチ先生本人にもインタビューをしている) その授業がどういうものだったのか、そこで何を得られたのか、 当時、どんな気持ちで授業を受けていたのか・・・などなどを紹介した本。 『銀の匙』を3年間かけて読み解く授業っていったい、どんな授業なんだろう・・・ 詳しいことは、ぜひ、本書をお読みいただくとして、 かんたんに紹介すると、本のなかで、凧揚げのシーンがでてくれば、 みんなで、凧をつくるところから始めて、凧揚げをしたり、 ねずみ算の話がでてくれば、たちまちそこは、算数の授業のように、 ねずみ算の話になったり・・・ 物語の世界を追体験しながら、とにかく、横道にそれていく授業なのです。 もちろん、このような常識はずれな授業をするにあたり、 エチ先生も、「結果がでなければ、責任をとる」と、強い決意をします。 その後、無名だった灘校が、東大入学者数で常に上位入りすることになります。 すごく印象的だったのは、最後の、エチ先生の、 「ほんとうに結果が出てよかった――」 というセリフ。 もちろん、エチ先生にとって、東大入学者数なんて、結果ではありません。 エチ先生の言う「結果」とは、教え子たちみんなが、還暦を過ぎても 前を向いて歩いていること。 すべての国語教師、いや、すべての教師、いやいや、すべての親御さん 必読の本だと思います。
21 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
すぐに役立つことはすぐに役立たなくなる,
By k - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち (単行本)
速読の無料体験に行ったとき、できればいいなと思ったが、魅力を感じなかった。本に限らず、いろんな細かいことにひっかかり、「どういうことやろう?」「この人はどんな人?」とつい興味が横道にそれてしまう自分だからだ。 学生時代も、どうしても受験勉強を楽しめなかった。無味乾燥な知識の注入を体が拒絶してのだと思う。 この本の主人公、橋本先生は、あっちこっちに興味が行きがちな多感な中高生に正対し、「銀の匙」という本を土台にして、子ども達とともに本の内容を追体験し、自由に思考や表現の授業を展開した。 私の思い描いていた教師像を体現した人だと感じた。 わたしは、高度経済成長とともに青少年期を過ごしてきたので、きっと合理化、効率化が骨身に染みてしまっているのだと思う。はやく役立つ情報と技術を身につけることを、何の疑いもなく追いかけてきたのかもしれない。しかし、心労から休むことを余儀なくされたことをきっかけに、この本と出会うことになった。自分が疲れてしまった原因と、そして、立ち上がる希望をこの本から学べたと思う。 すぐ役立つことはすぐ役立たなくなる この橋本先生の哲学が、「銀の匙」の授業を通して教え子達に受け継がれ、各界で困難な状況を打開する原動力となっている。わたしも、もう一度、本当の学びを起こしていこうと思う。
12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
配布プリントを書籍化して欲しい!,
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レビュー対象商品: 奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち (単行本)
評判どおりの素晴らしい書である。エチ先生こと橋本先生の教育方針が正しいことは、灘高の進学率(東大合格者数)データから分かる。 しかしながら、本書にあるとおり、先生にとってはその進学率は教育目標ではない。 先生の目標は、指導した教え子が「活躍すること」だそうである。 したがって、進学率はあくまでもその過程とのことである。 この考えを学んだだけでも本書の価値を十分に感じる。 あえてこの書の欠点を挙げれば、本書に登場する「銀の匙ノート」といわれる先生の手作りプリントが見られないことである。 先生の教育の真髄はこのプリントにこめられていることは間違いないのであるが、単語では何度も書の中で登場するものの、そのプリントの写真すら一切掲載されていない。 ぜひこのプリントを書籍として出版して欲しい。 それがこの書の価値をさらに高めることは間違いない。
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