長年の想いが叶って、ようやく観ることができたDVD。
「傑作か?」と問われれば、私にはまだわからない。
画質はニューマスター版で、画質はまあまあ綺麗。
映画の冒頭、荒涼とした地、美しく若いマリアが大きく膨らんだ腹で立ちすくんでいる。
絶望の顔のヨセフとの会話が全くない。
プロの俳優を起用していない点で、「作りものの宗教映画」らしさを排除している。
「マタイによる福音書」(原題)に基づき、忠実に解釈を加えないシンプルさが、かえって力強さを際立たせていると思う。
作り手側の思い入れが排除されているから、受け入れる側の感性や解釈にまかされる作品。
淡々と進行していくため、退屈に感じる時も正直あった。
ときどき画面が揺れるため、不思議な感覚にとらわれる。
付属リーフレットに書かれた四方田氏の解説が熱かった。
年老いたマリアを、パゾリーニ監督は実母に演じさせている点の解釈(パゾリーニ=キリスト)は納得。
演出として面白いと思ったのは、クラシック、サンバ、黒人霊歌を使っていること。
公開当初は、イタリア本国でも受け入れられるのが難しかったという、キリストの描き方が独特。
この映画が傑作なのかどうか判断するために、何度も観直す必要がありそう。
だが、それだけの価値があり、魅力がある作品なのかもしれない。
万人受けは難しい映画だと思うが、キリストの教え、説教は非常にわかりやすく説得力がある。
また、なぜキリストが磔刑になったのかという理由も理解しやすかった。
チャプター、オリジナル予告編、解説リーフレットあり。