「九州新幹線の上りと下りの一番列車がすれ違う時、奇跡が起こる」他愛も無い、どこからともなく子供達が作り出した夢、それを信じてひたむきに行動する子供たちのちょっとした非日常を周囲の大人が暮らす日常との対比の中で描いた作品。子供と言ってもそこは現代、離婚した両親の復縁や女優志願といった現代的な「願」と駆けっこで足が早くなりたい的な昔ながらの「願」とがないまぜなのが可笑しい。子供達が奇跡を信じてだんだん熱くなっていく様は、一方で我々が年をとるに従って身につけた万事諦めがちの考えをどこかへ押しやってくれる。また一方で、我々の眼を「頑張れ!子供たち!」という親や肉親の、いや、人が人に優しくできた時代のそれ変えていく。こんな誰のことでも自分のことのように思える感覚を呼び覚まして感じるハラハラやドキドキが楽しい一方、劇中に挿入された高橋長英とりりぃが演じた老夫婦と子供たちのエピソードが胸を打つ。父方と母方に別れ別れになった二人の兄弟を演じたまえだまえだの二人のキャラクタが対照的でどこかチグハグなのがいいのだが、その両親もかなりチグハグなところもまた可笑しい。平凡な日常を演じ抜いた樹木希林、加えておじいちゃん、学校の先生ら、子供たちを取巻く大人達のおおらかなところも九州人賛歌になっていて気持ちのいい後味を残す。大人達の脇役も見事だったとも言えそうだ。