ちくま学芸文庫である。
講談社学術文庫等にも言えるが、所謂学術系文庫は単価が高くなりがちだ。
普通の文庫に比べて発行部数が大幅に少ないためだろう。
小部数でもペイ出来るように高価格設定なのはまあ仕方が無い。
で、この本だが・・・安いのだ。
この厚さで2,300円というのは実質破格に近いと思う。
学芸文庫のほかの作品を見れば一目瞭然。
現に、同じ柴田宵曲の既刊二冊『明治の話題』『明治風物誌』も
半分以下の厚さで1,300円だ。
まずはこの価格に感謝。
中身に目を転じれば、この価格が如何に安いか更に身を以って知ることが出来る。
とにかく質と量が素晴らしい均衡を見せている。
恐ろしいものもあれば滑稽なもの、ほのぼのするもの、不気味なもの等
様々な怪異譚が本当に膨大な量、蒐集されている。
これだけ蒐めるのにどれだけ近世の随筆集を渉猟したか、巻末に掲げられた
そのデータを見ても、柴田宵曲の凄さが伺える。
あと、杉浦日向子の傑作『百物語』の元話も諸所に散見され、
おっ!と思うこともしばしば。
ちなみに文体は現代語訳されていないが、例え知らない単語があっても
前後の文脈から容易に類推して読み進むことが出来るので、是非手に
とってみていただきたい。
そう、新刊書店で手に入る今のうちに。