93年芸文社から刊行された作品の文庫版。
エネマ(浣腸)、ボンテージ、乳房、スパンキング(尻たたき)、象の骨、双子、バンダナ、マネキン、女性器、メイプルソープが撮った男性器、下着、ウォーホールの描いた猫etc。
その世界を趣味としない人にとっては、文字通り奇妙な(ビザールな)写真集やビジュアル本55冊(80年代に刊行された「洋書」)を紹介したコラムをまとめた作品。初出は90年頃の「芸術新潮」に書かれたものが多い。なお、55冊のうち6冊は、単行本刊行以降に書かれた文章を文庫化に際し収録したもの。
1冊を紹介するボリュームは、文章が3頁程度、図版(写真)の引用が4、5点程度ものが多い。その世界を趣味としない人(自分)には、ほとんどが、奇妙で理解できない世界ではある。しかし、ニヤニヤしながら眺めていたものあり、これは凄い、素晴らしいと感じたものあり、と実に楽しい。図版(写真)の少なさに物足りなさを感じてしまった。
初出が「芸術新潮」のものが多いということを考えれば当たり前ともいえるが、著者の紹介も、多くは“からかう”視点ではなく “分析的”あるいは“批評的”な視点から書かれている。だが、文章からは批評家然した匂いは感じられない。きっとそれは、分析・批評する以前に著者自身がこれらの本を本当に“おもしろい”と感じている一読者だからなのだろう。
各コラムにつけられた、なんともいえない味のあるタイトルにもそれが現れている。
この作品で取り上げられた本、明らかな芸術本はもちろん違うが、それ以外の本の多くも所謂オモシロ本やトンデモ本ではないのだろう。芸術本や体系的な分析が行なわれた学術本として刊行された作品だったのだと思う。ただ、その芸術性や内容が(一般的には)奇妙だったがために、「奇書」的な見方をされてしまうだけなのだろう。
表紙と「奇妙な本棚」というタイトルに惹かれて何気なく手に取った作品だが、愉快な読書の時間を過ごすことができた。