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5つ星のうち 4.0
逆説、奇想、諧謔そして幻想味〜ブラウン神父の前身,
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レビュー対象商品: 奇商クラブ (創元推理文庫) (文庫)
チェスタトンが「ブラウン神父」シリーズの前に発表した作品。「奇商クラブ」には短編六作、他に中篇二作が収められている。「ブラウン神父」と同様、逆説と奇想と諧謔が楽しめる。「奇商クラブ」は勿論作者の想像の産物だが、これ自身、奇想の塊である。この会員は次のルールを守らなくてはならないのである。 (1) それまでにない新しい職業を考えなければならない。 (2) その職業で生計を立てなければならない。 この「奇商クラブ」に纏わる一風変わった事件を元裁判官の風流人グラントが解き明かすという趣向である。会員達が従事する職業は正直言って、"奇商"と呼べる程珍奇なものでは無いのだが、物語の中で普通に日常生活を営む常識人と係ると、摩訶不思議な印象を与えるのである。これを一見奇人のグラントが逆説めいた言辞で次々と解く様は爽快である。物事の見かけに騙されるのではなく、裏にある真実を突く姿勢はまさにブラウン神父そのものである。物質文明・階級社会に対する批判精神も健在。最終第六話で作品全体の意匠が明らかにされるという凝った趣向。「背信の塔」は"仮想"の国トランシルヴァニアの辺境で起こる宝石紛失事件を、スティーヴン神父(=ブラウン神父の前身)が逆説的論理で、身を挺して解決する幻想的物語。「驕りの樹」はケルト地方の南海岸に生える人食い木と恐れられる"孔雀の樹"に纏わる神秘的物語。幻想と現実が交錯する傑作。 逆説、奇想、諧謔、そして幻想味に溢れた、「ブラウン神父」シリーズに劣らない珠玉の短編集。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
不思議な商売,
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レビュー対象商品: 奇商クラブ (創元推理文庫) (文庫)
ブラウン神父シリーズの作者として推理小説ファンに知られるチェスタトンが、初めてその分野に足を踏み入れたのが表題の『奇商クラブ』です。本書にはその他に中編として『驕りの樹』と『背信の塔』が収録されています。 『奇商クラブ』は、「会員は既存の商売の応用・変形ではない完全に新しい生業を発明し、発明者の生活を支えなければならない」という奇妙な規則を持ったクラブの面々との騒動を描いたもので、その謎を解き明かすのも発狂して裁判官を引退した人物だというのだから変わっています。 会員達の商売はどれもユニークで面白いものですし(1つ規則にひっかかっているものがあるような気がしますが)、文章自体にもお得意の逆説がちりばめられているので楽しく読めます。 最後には狐につままれたような展開も待っていて、完成度はなかなか高いのではないでしょうか。 中編についても簡単に述べますと、『驕りの樹』は章に分かれた劇を観ているような感じで、ラストの皮肉も利いています。 『背信の塔』は劇的な効果、逆説を表現しようと凝った装飾を加えようとしている気配がありありで、ちょっと不自然な仕上がりになってしまっていると感じました。
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