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失踪者―カフカ・コレクション (白水uブックス)
 
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失踪者―カフカ・コレクション (白水uブックス) [新書]

フランツ カフカ , Franz Kafka , 池内 紀
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,260 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

『審判』『城』とともに「孤独の三部作」と呼ばれる連作の第一巻。従来『アメリカ』という表題で知られていた作品だが、本コレクションでは、カフカ自身の命名によるタイトルに戻されている。主人公カール・ロスマン青年がアメリカ社会を遍歴したあげく、大陸の一点で失踪する。

内容(「MARC」データベースより)

17歳のカール・ロスマン青年がアメリカ社会を遍歴したあげく、大陸の一点で失踪する…。従来「アメリカ」という表題で知られていた作品を、本来の姿に構成・内容を改め、カフカ自身の命名によるタイトルに戻して収録。

登録情報

  • 新書: 361ページ
  • 出版社: 白水社 (2006/04)
  • ISBN-10: 4560071535
  • ISBN-13: 978-4560071533
  • 発売日: 2006/04
  • 商品の寸法: 17.4 x 11.2 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
以前、角川文庫などで『アメリカ』として知られたものの作者手稿による新訳。面白い。
いきなり「女中に誘惑され」、その女中に子供が出来たために、アメリカに旅立って自由の女神像を拝む冒頭から、下船する間際に上院議員の伯父に出会い、上流生活からアメリカ生活をスタート。しかし、急転直下、その伯父の気分を損ね風来坊に落魄れ、エレベーター・ボーイの職を得る展開が、お話としても面白く、そのくせ淡々としたカウリスマキの映画を観ているようだ。しかも、カフカには珍しくニューヨークやその郊外の匂いまで漂ってくる。
死後の焼却を願っていた作者にしてみれば、全ての長編が習作だったのだから、本作品などは習作も習作、ひょっとするとカフカのものとわからなければ、今日の出版すら覚束ないものかもしれない。しかし、不条理などといった手垢にまみれた言葉ではなく、まさにリアルな手触り、「他者」の気配がムンムンする。原田義人訳の『アメリカ』よりも、池内訳は全体的に緩い。それが、独特な雰囲気を醸し出していると、ドイツ語を解さない評者は勝手な感想を抱いた。

池内紀訳では、カネッティの『眩暈』が秀逸であった。勿論、これは原作の素晴らしさだろう。私見では『眩暈』はカフカの『城』を超える世界文学である。
このレビューは参考になりましたか?
形式:新書
ヨーロッパの少年が、アメリカにわたったものの、
体ひとつで放り出されて、人生をもみくちゃにされる物語。
物語のタッチは明るく、いわばコメディなんだけれど、
そこにはこの世界の凶暴な真実が隠されていて。

主人公はドイツ人、カール・ロスマンくん、17歳。
(『キャッチャー・イン・ザ・ライ』のホールデンは、16歳だったっけ?)
カールくんは、ふつうの男の子、とくに勉強が好きというわけでもない、
ふつうの男の子。このカールくん、
ドイツで女中に誘惑されちゃって、ついつい男と女の関係になっちゃって、
あまつさえ妊娠までさせちゃって。両親はもうかんかんに怒っちゃって。
「おまえなんかもううちの子じゃありません、
アメリカの伯父さんとこで、勝手に生きてゆきなさい」なんて感じで、
両親に体よく追い払われちゃう。両親は、世間体を気にしたんですね。
カールくんはひとりで船に乗せられて、アメリカの伯父さんのもとへ。
小説の冒頭で船は速度を落としてニューヨーク港へ入ってゆきます。
カールくんは甲板に立って、陽光を浴びながら、自由の女神を見ています。
カールくんの眼には、自由の女神がまるで剣をかざしているかのように見えます。
剣をかざした自由の女神、なんて不吉なイメージでしょう。
そして物語は、滑り出してゆくんです、不吉な予感を漂わせながら。

とは言うものの、カールくんの表情は、いたって明るい。
ニューヨークに到着した船のなかで、カールくんは、
たまたま知り合ったドイツ人の火夫と(ドイツ語が通じる気安さからか)無駄話をしています、
大人と会話するのがちょっと晴れがましい。
火夫の仕事の愚痴につきあうどころか、その愚痴を鵜呑みにして、
火夫に代わって火夫の心のたけを訴えてあげたりする始末。
そんななか、カールくんのアメリカの伯父さん、
企業家のヤーコプさんが現れ、ま、とにもかくにもカールくんを、
迎えに来てくれたのでした。
 (ここまでの話は『カフカ短編集』岩波文庫収録の『火夫』と、ほぼ同じです)。

さて、はじめのうちはヤーコプさんもカールくんをかわいがります。
ちなみにこのヤーコプさんは、いかにもやり手の企業家、製造業でも、
問屋でもなく、壮大な仲買業をやっています。
なにしろその壮大さと言えば、
オフィスにはテレフォン・オペレーターが何十人もいて、
誰もが電話で商取引をしているわけで、
ここではいかにもアメリカならではの先進的資本主義の現場が描かれています。
さて、ヤーコプさんはまずカールくんに英語を習わせ、
カールくんがピアノを弾くのが好きだと言えばピアノまで買い与え、
その上、乗馬のレッスンまでさせてくれます。

ところがある日、カールくんは、おもいがけず
ヤーコブさんをかんかんに怒らせてしまいます。
さぁ、それからがカールくんの人生の流転のはじまり、
アメリカを流れ流れていった果てに、
たどり着いたのは、なんとオクラホマ劇場。
天使役もいれば悪魔役もいっぱいいて、いっけんとても華やかです。
そんなオクラホマ劇場に、「ネグロ、ヨーロッパの中卒」なんて書類に書かれて、
黒人枠で裏方仕事に就くのでした。
東欧ユダヤ人たちにとって、サーカスは身近なアウトカーストたちの、
魅惑と蔑視の入り混じった、ユートピアだったのではないかしら。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By アマゾン三郎 VINE™ メンバー
形式:新書
 旧角川文庫から出版されていた『アメリカ』とこの『失踪者』を読み比べてみて……
 カフカ作品は実に特有の不条理にて始まるのだが、本作でも「変身する」するように、「訴えられる」ように、アメリカにある意味「追放される」。そこは何の地図もない土地だ。『アメリカ』/『失踪者』を読んでみてまず感じることは、作者フランツ・カフカ自身、「アメリカ」という土地を全く知らなかったのではないか、ということだ。
 『失踪者』はその未知の大陸で、主人公カール・ロスマンがすったもんだの末(←稚拙な表現で失礼)、失踪し、物語(ないしはアンチ物語)はその中心を失って、漁網がほどけていってしまうかのごとく、終わる。
 話の大筋をいってしまえば、カフカ特有の不条理。
 だが、『失踪者』においては『審判』『城』といった作品に比べ、幾分、諧謔味があるといえよう。
 それがこの著書の楽しみではないか? ただ単に不条理なだけではなく、それが滑稽な・不器用な人間味として描かれている。
 カフカの他の長編より、むしろ短篇のテイストに近いのではないかと私は思う。
 故に『審判』『城』『変身』に「現代人間が抱え持つ悲運な運命」といったお堅い(←失礼)ものを見出し、本書を読むと、やや肩すかしを受けるのではないか、と思われる。
 が、ある種、新鮮なカフカ像(と、その作品像)をここにみることも可能ではないだろうか。
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