非常に評価が高いのは、読んでみてわかるが、まず日本語訳がすばらしい。というか、ただの訳者ではなく、あきらかに研究者である。本の5分の1程度の頁が、訳注にあてられており、聖書との関連性をはじめ作者の意図を読み込んだ訳作りがありありとわかる。
僕は普段あまり難しい本は読まないのだけれど、この本については、少しのがんばり程度でよめる。なぜ「少しのがんばり」かというと、「詩」であるので、ものすごい技巧的な表現が多い。とても普段使わないような修飾語が多く、それをじっくり味わうつもりで読まなければ、この本の真価はわからない。
そういう意味で、自分がこの作品に5つ星をつけるのはあまりにおこがましいので、4つ星にさせていただいた。
この作品は、1600年台なので、もちろん聖書がかかれた年代から考えれば、その創世記に新たな息を吹き込んだその試みは、現代で聖書をとりあげるのとそんなにかわらないのではないか。特に面白かったのは、ミルトンはガリレオと交流があったようで、その影響か、アダムと天使の会話に、天体の話がでてくるところだ。天動説か地動説かはっきりとは書いていないけれど、要するに、神が設計した宇宙の神秘を、愚かにも人間が解き明かそうなどと考えず、神が人間に期待したように信仰にいきるのが大切だという主旨になっている。
また、上巻の善と悪の天使軍団の戦いは、日本語が超一流なので、まるで舞台か映画をみているようだ。天使が力と力でガチンコ勝負するなんていままで考えたこともなかった。漫画デビルマンの最期をつい思い起こしてしまう。というか、永井豪さん、絶対これ、よんでると思う。
もひとつ面白かったのは、アダムとイブが禁断の果実を食べた後、仲がよかった二人が、責任転嫁をし合うくだり。想像力豊かな聖書からの肉付けが楽しめる。