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著者が長年携わってきた機械設計の研究・講義においては、新しいものを創造する過程で失敗がつきものである。その仕事を通じて失敗の扱い方にこだわりを持ちはじめた著者は、官民協同で失敗のデータベース作りを行う「失敗知識活用研究会」の活動などを通じて、現代社会のあらゆる分野において失敗に学ぶことの必要性を感じるに至り、その考えやノウハウを体系化してきた。
本書の内容は、失敗を取り込んだものの考え方、組織運営、社会の考え方の3つに大別され、それぞれ具体的にまとめてある。たとえば「失敗を生かす組織運営」の章では、もんじゅの原発事故を「局所最適・全体最悪」の例として挙げ、失敗対策におけるトップダウン方式の重要性を説いている。
「この本を読んで、実際に仕事を進める上でのヒントを見つけていただけたならば、筆者としてこれに勝る喜びはありません」とのこと。確かに本書には、「スタンド・アロンには決してならないこと」など、仕事をするうえで頭の片隅に置いておくと便利な情報が満載である。また、読むと失敗に対する考え方が前向きになり、自然に新しいことに挑戦する意欲と勇気がわいてくる。これも本書の魅力のひとつであろう。(加島有理)
日経BP企画
著者は官民共同の失敗事例のデータベース化に取り組むなど、失敗を知識化する「失敗学」を提唱している。失敗を隠し、遠ざけ、そこから学び取ることをしない日本人の体質が、企業不祥事の相次ぐ発生要因になっているだけでなく、バブル崩壊後の閉塞状況の元凶であると強調する。
本書は起こしてはいけない失敗をどう防ぐべきかを解説すると同時に、「新しいことにチャレンジする」過程で起こした前向きな失敗をどう生かせばいいかを指摘する。
労働災害が発生する確率を経験則で導き出した「ハインリッヒの法則」になぞらえ、新聞種になるような1件の失敗の陰には29件のクレーム程度の失敗があり、さらにその背景に300件の「苦情にもならないが当事者がヤバイと認識した失敗」があるという。こうした前兆を把握し、危険性の検討をしておくことが致命的な失敗の防止につながる。
また、失敗を隠すか否かは「損得勘定で行うべきだ」という。隠していた失敗が発覚した時の代償や、小さな失敗の隠蔽が大きな失敗を招くことを考えれば、隠すことがいかに損であるかが分かるという。「失敗対策はトップダウンで」「失敗経験者を優先せよ」といった持論も披露する。
出版社/著者からの内容紹介
時代を突破する知の技術
失敗をきちんと知識化することで、創造も生まれるし、大失敗も防げる。失敗を避けられない時代に必須の新しいものの見方、考え方を説く。
●狂牛病騒動に思うこと
●偽ベテランと真のベテラン
●仕事とは「失敗から定式化」への繰り返し
●上位概念に上る
●頭の3割はいつも冷静に
●失敗から立ち上がる準備
●構造だけ変えても意味はない
●失敗対策はトップダウンじゃないとダメな理由
●悪魔のささやき
●市場原理から失敗を見る
安全な道が一転危険な道に――
社会が大きく変わるときは、予測していなかった事態が次々とまわりで起こります。その際、状況に応じた対処ができずに思わぬ失敗を起こしてしまったり、また、適切な対処ができないまま失敗の被害を拡大させてしまうことも珍しくありません。ここ数年頻発している行政や企業の失敗は、まさにその典型のようなものです。……
ここで起こっているのは、「最も安全な道」と信じられていたものが一転して「危険な道」になっているという状況の変化です。そのような現実をを直視することなく従来の成功の法則に固執していては、未来に待ち受けている大失敗を避けることができないのは火を見るよりも明らかです。……
誰もが認識する必要があるのは、いまの時代、「絶対安全な道はどこにも存在しない」ということです。それほど変化の激しい時代にいまの私たちは生きているのです。――(本書より)
内容(「BOOK」データベースより)
著者について
1941年、東京都に生まれる。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授を経て、現在工学院大学国際基礎工学科教授。東京大学名誉教授。著書に『失敗学のすすめ』――講談社、『設計の方法論』――岩波書店など。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
1941年、東京都に生まれる。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授を経て、現在工学院大学国際基礎工学科教授。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)