冒頭にある『人間の一生はそれほど長くない。・・・そこで他人の失敗を「他山の石」として活用したい。』というのが本書のエッセンスといって良いだろう。確かに失敗には一見似ていなくても、本質的には同じ種類のものに分類でき、そうであれば共通の原因から共通の対策が可能ではないか、というのが著者のアイデアのもとにもなっていると思う。その意味では、実例を示してそれを読者に分かりやすく説明している点は評価できる。また、日本の工学部にない講義としては要求機能の列挙(Design definition)、日本の法学部にない講義として立法学科という指摘(本当かどうかは別にして)も興味深いが、言わんとしているのは、最上流での機能定義がしっかりしていないと不要な失敗を繰り返すということであり同感である。
なお、まえがきにも紹介されているが、著者の先生にあたる畑村洋太郎氏の書いた『失敗学のすすめ』を本書の前に読むことを薦めたい。