中国の近代史についての俗説、通説を完膚なきまで打ち砕く本である。
例えば阿片戦争。なんとなく名前を聞いたことのある人々でも「イギリスが中国に無理やり阿片を売りつけようとして、それを拒否した中国を無理やり理由つけて侵略した戦争でしょ?」くらいの知識である人が大半だろう。だが筆者はそれを完全に否定する。むしろ阿片戦争開戦の責任の大半は中国側にある、という。
例えば北清事変。これも(戦後の歴史教育に影響を受けた人なら特に)「中国を植民地化しようとして狙っていたヨーロッパの列強に対する民衆の反抗」くらいに思っている人もまだいるかもしれない。この見方も完全に否定される。
極めつけは支那事変(日中戦争)。筆者はなんと「支那事変は中国の日本に対する侵略戦争である」と断じる。(書き間違いではない。)
いずれも殊更に奇矯さを狙っているわけではなく、丹念に史実と発言の記録、そして軍事学上の知見を元にして導かれた見解である。もちろん、この本に書かれていることは、今後他の歴史家の批判的な検証を受けるべき内容であるとしても、一読に値する内容ではあろう。