理不尽な“町の消滅”に、理を超えた芸術の力で立ち向かっていく人々。
設定が設定だけに入り込むのが難しい小説ではある。おまけに他の方も書かれていたように、人物造形や発せられる台詞の端々がステレオタイプすぎて妙に気になってしまった。特に茜さんが・・・訴えたかったことは十分にわかるのだが、何かが決定的に惜しい一冊であった。桂子さんが脇坂さんを求めてたどり着いた“居留地”もまた、どこかの近未来SFから借りてきたような描写ではありつつ、しかし確実に読む手は止まらなくなっていた。多分、もっと推敲を重ねたらよりよい作品になっていたのかもしれない。
ちなみに各章のタイトルは秀逸。言葉選びに絵センスを感じる。
そして装丁も洒落ている。是非とも店頭でビニールのカバーをめくっていただきたい。