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失われた時を求めて 2: 第一篇「スワン家のほうへII」 (光文社古典新訳文庫)
 
 

失われた時を求めて 2: 第一篇「スワン家のほうへII」 (光文社古典新訳文庫) [文庫]

マルセル プルースト , Marcel Proust , 高遠 弘美
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,160 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容説明

官能的な新訳で「スワンの恋」に酔う。パリ上流社交界の寵児スワンは、高級娼婦オデットを恋人にする。ところが強力な恋敵が現れ、スワンの心は嫉妬に引き裂かれていく。苦悶の果てにスワンが見出したものは……。恋愛心理を鋭く描いた第二部「スワンの恋」。第三部「土地の名・名」も収録。〈全14巻〉

内容(「BOOK」データベースより)

パリ上流社交界の寵児スワンは、高級娼婦オデットを恋人にする。ところが強力な恋敵が現れ、スワンの心は嫉妬に引き裂かれていく。苦悶の果てにスワンが見出したものは…。恋愛心理を鋭く描いた第二部「スワンの恋」。第三部「土地の名・名」も収録。

登録情報

  • 文庫: 624ページ
  • 出版社: 光文社 (2011/12/8)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 433475239X
  • ISBN-13: 978-4334752392
  • 発売日: 2011/12/8
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By pen
完読しました。プルースト、面白いです。
19世紀の社交界の話で、現代とは流れている時間が全く違うのですが、あらゆる人間関係や思考について、現代社会とも重なる瞬間がたびたびあります。個人的にはバルザックやフローベールを読んでいたときに感じた疲労感、絶望感は一切無く、逆に現代にも通ずるアイロニーやユーモアを受けて、くすっと笑ってしまうようなことも度々ありました。品があって豊饒な時間を過ごせる読書体験、とでもいうのでしょうか。

本巻には、「失われた時を求めて」の第1篇「スワン家のほうへ」から、第2部「スワンの恋」、第3部「土地の名・名」が収録されています。第2部「スワンの恋」のスワンは、貴族だけあって、庶民には過ごせないような時間、たとえば対象をじっくりと観察する時間や恋愛のことだけを考えて生きていける時間を持っています。スワンは高級娼婦オデットに恋してしまうのですが、そのやりとりが何とも言えずしっくりきて、訳文がお洒落で、何度も唸ったり、読み返してしまいました。

一例として、高級娼婦オデットの言葉を引用させて頂きます。
訳者の高遠弘美さんは女性の科白を訳すのが実にお上手です。

「愛情が怖いって仰言るの? まあ、おかしな方。わたしなんかそれしか求めていませんし、それがひとつ手に入るためなら命だって惜しくないのに」。

「こんなにぎりぎりまであなたの相手をしてあげたのよ。そのお礼がそれ? 優しくしてあげたつもりだったのに。二度とそんなふうにしてはだめ」。

翻訳書については訳ありきだと常々思っていますが、プルーストは長文をいかに流麗に訳すか、というところに掛かっているのだと今回改めて感じました。

むかし鈴木道彦の抄訳を読みましたが、こんなに面白かったか? と思い、いま鈴木訳を引っ張り出して読んだのですが、全然面白くなかった(当時はそれなりに面白いと思いましたが、高遠訳を読んだあとに読むと同じ作家の作品とは思えない)。鈴木訳は色気がないというか、ぶつぶつ途切れていて、全く流麗でない(フランス語できないのに勝手なことを言いますが)。

ともかく、高遠訳は文章の香りが違う、と思いました。
たとえば同じ箇所を引用してみます。

「彼は自分の仕事机の上に、まるでオデットの写真のように、エテロの娘の複製を置いた。その大きな目を、まだ成熟しきっていない肌をしのばせる繊細な顔を、疲れた頬に沿ってたれ下がっている見事な巻き毛を、嘆賞した。そして、これまで審美的に美しいとおもっていたものを実際の女の観念に当てはめて、これを肉体的長所に変形し、自分がものにしうる一人の女のうちにその長所が集められているのを見て、嬉しくなった」(鈴木道彦訳・集英社)

「彼は仕事机の上に、エテロの娘の複製をオデットの写真代わりに飾った。大きな目、まだ成熟しきっていない肌を想像させる繊細な顔立ち、疲れの見える頬に沿って垂れる見事な巻き毛に感嘆の念を覚えながら、スワンは今までなら審美的な観点から美しいと思った要素を生身の女の観念に当てはめ、それらの要素を具体的な肉体のさまざまな美点に置き換えていった。現実に自分のものになるかもしれない女のうちにそうした美点が集約されているのを目の当たりにするのが嬉しかったのである」(高遠弘美訳・光文社)

いかがでしょうか。
最後に、本自体についても少し書き留めておきます。

訳者による「読書ガイド」を含めると全624ページの分厚い本です。
文字の大きさは程良く、写真や図を付けた解説も豊富で、註釈も同ページまたは次のページの端にあり、至れり尽くせりという感じです(註釈がないと分からない箇所が多々あるのですが、要点を押さえて分かりやすく解説されていて、それを読むだけでも愉しいくらいでした)。1巻と同様、付属の栞には登場人物の名前と特徴がまとめられています。

あと、表紙は「カトレア」をイメージしているのかもしれません。本巻の重要な要素です。
訳者による「読書ガイド」にも打たれました(それまで引用すると流石に長くなるので差し控えます)。

長々と書いてしまいましたが、
ともかく面白くてついつい読み進めてしまう感じです。個人的には2巻から読んでもいいのでは、とも思います。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ヒデボン VINE™ メンバー
 「カトレアする?」っていうのが21世紀日本のギロッポンあたりの恋人たちのデートの際のあの隠喩になっている、というのは起こりえないことかもしれない。しかし19世紀末のおフランスでは有閑クラスの紳士淑女たちの間では、あり得ることだった。

 ココットなイケている女性、オデット・ド・クレシーにぞっこんなスワンは毎月のお手当を当時の5,000フラン、今の日本円で、500万円払い続けてでもモノにしたかった。訳者の高遠氏は1フラン1000円で考えているが、岩波文庫で翻訳が先行している吉川氏は1フラン500円と想定している。いずれにしても、エライ高くつく女性だったんだなっていうのが正直な感想。いくら株の公認仲買人を父に持つ暇人とはいえ、こんなに稼いでたのかってこれまた呆れた感想。

 そんなに金をつぎ込んでも、哀れスワン、オデットにフラれてしまうのかいな、嗚呼、悲しやと思いきや、「第三部 土地の名‐名」では、きっちり彼女と結婚し、ジルベルトなる可愛い女の子まで生まれている。そのジルベルトに恋い焦がれるのが「私」・・・・

 新訳がこの高遠氏の方が先行したのに、吉川氏に追い越されてしまった。訳が遅れたのは、あの2011.3.11の地震のせいだったと本人が書いているが、読者としては、この二つの翻訳をどうしても比べてしまう。
 オリジナルの文章のセンテンスが長いのをそのまま訳するのが吉川氏の特徴だが、この高遠訳では( )で括ったりして、できるだけ読みやすいように、かつ理解しやすいようにと工夫しているさまがうかがわれる。どちらがいいかなんて愚問。これは読者の好み次第と思う。

 また「ココット」。高遠氏が「高級娼婦」と翻訳することにこだわる理由がきちんと書かれていることは興味深い。

 さらに本書から登場した「場面索引」は明らかに吉川訳を意識してのことだろう。構成を若干替えてはいるが・・・・・。
 
(この古典新訳文庫のカントの「純粋理性批判」で行ったように、この場面索引部分をPDFで編集してほしいな。)
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