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失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫)
 
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失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫) [文庫]

プルースト , 吉川 一義
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

ひとかけらのマドレーヌを口にしたとたん襲われる戦慄。「この歓びは、どこからやって来たのだろう?」 日本の水中花のように芯ひらく想い出――サンザシの香り、鐘の音、コンブレーでの幼い日々。プルースト研究で仏アカデミー学術大賞受賞の第一人者が精確清新な訳文でいざなう、重層する世界の深み。当時の図版を多数収録。(全14冊)

内容(「BOOK」データベースより)

ひとかけらのマドレーヌを口にしたとたん全身につたわる歓びの戦慄―記憶の水中花が開き浮かびあがる、サンザシの香り、鐘の音、コンブレーでの幼い日々。重層する世界の奥へいざなう、精確清新な訳文。プルーストが目にした当時の図版を多数収録。

登録情報

  • 文庫: 528ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2010/11/17)
  • ISBN-10: 4003751094
  • ISBN-13: 978-4003751091
  • 発売日: 2010/11/17
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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49 人中、46人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By スワン トップ500レビュアー
鈴木道彦訳(集英社)を愛読しているので本書を買うつもりはなかったのだが、書店で手に取り、地図や図版が充実しているのを見て買うことにした。

読んでみると、じつに配慮のいきとどいた編集がなされていて感心した。
小説の舞台となる1900年前後のフランスおよびパリの地図、訳注、プルーストの年譜は親切をきわめている。
ここまでの編集がなされていれば、プルースト事典の類は必要ない。本書だけでも十分に『失われた時』を読むうえで必要な舞台や背景についての理解を得ることができるからだ。

訳文についていえば、吉川氏は鈴木道彦氏よりも原文に寄り添っていてやや息が長いが、かつての井上究一郎訳ほど読みづらくはない。

私見では、ふつうの意味で事件が次々に起こるわけではない『失われた時』を楽しみ味わい、かつ読み通すためには、作者の語りや描写に身を任せるのがいちばんだ。

たとえば、<語り手>がバラ色の服の夫人にどぎまぎしているときは同じように心をときめかし、ヴィヴォンヌ川に沿って散歩しているときはいっしょに歩いているようなテンポで読み進め、また<語り手>がサンザシの花に語りかけているときはその言葉に耳を傾けるようにする。

すると、長い長いこの小説もさほど長くは感じないはずである。
本書はそうした<読み>に十分耐えられる訳文になっている。

知人によれば、光文社古典新訳文庫でスタートした高遠弘美訳『失われた時』(未読)も「いい訳だ」というから、読み比べてみるのも楽しみだ。

この岩波版『失われた時』に関して、ひとつだけ疑問に感じるのは「半年に1冊」という刊行ペースである。
全14巻だから、順調にいっても最終巻は7年後ということになる。いくら大長編とはいえ、これは気長すぎるのではないか。せっかくの吉川訳の感興もそがれてしまう恐れがある。
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35 人中、32人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ヒデボン VINE™ メンバー
 約2か月前に光文社古典新訳文庫から高遠弘美訳でリリースされた「失われた時を求めて」ですが、先訳の話題が尽きぬ間に今度は岩波文庫から吉川訳で出てくるとは、2010年秋、読書界にとって少々どころか相当のサプライズではあります。

 読者としては、はてさて、どちらを読み継いでゆけばいいものやら嬉しい悩みではあります。どちらも同じ全14巻、岩波が先行する光文社に合わせるかのような訳注の表記方法、挿絵や図版の挿入等々、読者に対するこれらのサービスも似通っています。
この岩波文庫のほうには「場面索引」という興味深い索引がついています。

 しかし、本文の日本語は相当に異なっています。「ココット」なる仏語を、高遠訳では大胆に「高級娼婦」とし、吉川訳では「粋筋の女」ときます。また、吉川先生はプルーストの特徴ある長文を翻訳するに際し、可能な限り元の語順を尊重するという考えで訳されています。

 また高遠先生が1952年生まれ、吉川先生が1948年生まれと4歳の年齢差がありますが、この年齢差はあまり関係ないでしょうね。

 それぞれのカヴァー裏の宣伝文句。高遠訳には「豊潤な訳文」とあり、吉川訳には「精確清新な訳文」とあります。とはいっても、吉川訳が「豊潤」でないことはなく、高遠訳が「精確」でないとはいえないでしょう。

 私は仏文の専門家ではありませんので専門的なことはわかりません。しかし、読書の楽しみという本質的なことを言うなら、どちらの翻訳でもいいと思います。あとは読者個々人の趣味の問題じゃないでしょうか。すでに既訳が何種類かあるわけですし・・・・・。
 吉川訳は6か月に1巻のペースで、全14巻7年間という長期間のリリースになる予定のようで、私はこれからもリリース順に両方を読むつもりです。

 どちらも素晴らしい翻訳なので、いずれか一方だけというのが、もったいないのです。
「失われた時を求めて」は、急いであらすじを追って読み進むものではないということは、両先生が異口同音に言っておられることです。
 本書を通じてゆったりとした読書時間を持つ、という最高の楽しみを味わうことができると思います。
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20 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 井上究一郎訳ですでに完読していたので、新訳が出たからといって買うつもりはなかった。ところが、店頭で手に取り、最初のページを読み始めたら、あまりの読みやすさにびっくりして、つい購入してしまった。とにかく日本語のリズムが整っている点では、過去最高の翻訳ではないだろうか。今まで何度か挑戦して挫折した経験がある人でも、これならなめらかに読み進められるだろう。19世紀末から20世紀初頭のフランス上流社会の生活の細部が、明滅する記憶の彼方からたぐり寄せられる。問題はひとつだけある。最終第14巻の刊行が7年後に予定されていることだ。つまりこの翻訳で『失われた時を求めて』を初めて読もうとする人は完読するのに7年もかかってしまうのだ。でも、長大にして豊饒なこの作品のテーマ「時」を体験するのには、かえってそのくらいの年月をかけた方が味わい深いのかもしれない。
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