物語は、私ウッドフォート・グリーンが大学の同窓生であるラザフォードから、私とラザフォードの共通の知人であるコンウエイの話した手記を展開するという二重構造になっています。
1931年インドのバスクールで革命が起き、コンウエイ(英国領事)を含む4人は、一番最後にペシャワールに向け脱出しますが、その飛行機は乗っ取られていて、チベットの秘境に不時着し、操縦士も息絶えます・・・
高名なユートピア小説です。蒼い月の谷間にあるシャングリ・ラでは、チベットの相当高地にあるにもかかわらず、穀物、農産物が豊富に実り、不老不死とまではいきませんが、修行を積んだ者は、相当な高齢まで生きられます。
物語には、シノワズリというかオリエンタリズムの影響が色強く出ていますが、その割に、シャングリ・ラの頂点に立つものは、、欧州の北方人種とラテン民族であると書かれたりしていて、このへんは、いかにも英国人の書いた小説だなと思います。私は、中学時代にこの小説を読み、凄いなと思った記憶があります。今回河出書房さんから、新訳が出たとの事で再読しました。しかし、新潮社版は、品切れになっていて、古書価格数千円もしています。J・ヒルトンの2大名作の内の一つですから、安価な文庫は、常時供給して欲しいものです!!
なお、物語自体が、映像向きに出来ていますから、過去2回映画化されています。フランク・キャプラ版は、映像の一部が欠損していますが、DVD化されています(キャプラの代表作ではない)。一方、オリビア・ハッシーの出ていたミュージカル版のほうは、ソフト化されていないようです。