加治将一さんの歴史小説は、独自の調査に基づいた思いがけない視点を提供してくれるところが魅力です。
思いがけない視点に驚くだけでも楽しいことですが、それだけではなく、言われてみれば「なるほど、そうかも」と思えるだけの根拠も示してくれていて、読者は地味な資料の読み込みをすることなく、小説を楽しみながら新しい歴史の見方を獲得することができます。
『舞い降りた皇』でもやわらかな発想で興味をかき立ててくださいましたが、この新刊では漢字と聖書を結びつけるという大胆な発想です。
聞いた時には「えっ!?」と思いますが、確かに大陸は騎馬民族の庭のようなもの。人種も民族もごちゃまぜの猥雑な古代の姿を目に浮かべるのは難しいことではありません。
『騎馬民族国家』が出版された時には、随分物議をかもしたようですが、「あり得ない」ということのほうが不自然な気がします。
そして、そんな日本民族の重層性を大陸と結びつけ、わかりやすく示してくださった『舞い降りた皇』から一歩進んで、本書では当然の成り行きの如く、地続きだったユダヤとの関連が語られ・・・というワクワクする展開です。
壮大なストーリーだけでも面白いのですが、登場人物たちがまた魅力的ですね。望月先生を支援するナゾの実業家に興味津々。自作でも登場してくれるかな?