「夫婦の間で男女平等はありえない」というキャッチフレーズは、一見古くさい主張に思える。しかし、夫婦の間において相手をよく尊重することが、結局は家族全体の幸せ、そして自分自身の幸せにもつながるということは、たいへんもっともなことである。
文中には、まるで時代が数十年も逆戻りしたようで、現代の夫婦では考えられないような記述も散見されるが、夫を尊重しながら自己実現も果たした筆者の姿勢や、深い愛情には、心温まるものがある。
家族は、それぞれが自分の希望だけを主張していては成り立たないし、逆に誰かの自己犠牲のみによるものでもない。
昔の世代の知恵には、現代では通用しないものもあるが、生かしていけるものもある。
本書は、相手の立場を考えずに自らの言いたいことのみを主張する「個人主義」がまかりとおり、結局、皆が肩ひじを張って生きなければならなくなりつつある、昨今の日本社会に対して、貴重な一石を投じているのかもしれない。