古書店で思わず書名に目をとめ、購入した1冊です。60歳を迎えるのにはもう少し時間がかかりますが、結構な齢を重ねている我が身に置き換えながら読了しました。
本書は住友信託銀行の「60歳のラブレター」キャンペーンの応募作品から選ばれたラブレターの秀作集です。多くの苦難の道を共に歩んできた様々な夫婦のラブレターが165通掲載してあります。寄り添いながら、時にはけんかをし、子育て、親の介護など、人生の荒波を乗り越えようとしている夫婦の肉声が綴られています。惜しむらくも鬼籍に入られた方への思いも掲載してありました。生前に伝えたかったメッセージでしょうから、それを考えると目頭が熱くなります。そういう重みをもった本でした。
生活の苦労はいつの時代もいずれの家庭でも形を変えて降りかかってくるわけですが、その痛切な思いのたけの披露ですので、軽々しく読むことはできません。病気、老い、死、人生の儚さを感じながら、手に手をとって生き抜く夫婦愛が詰まっています。
文章の上手下手はあっても込められた気持ちはいずれも相当深く温かいものばかりでしたから。人ごとではない内容が綴られている文と遭遇すると思わず経てきた道のりを振り返ってしまいます。
年と共に涙もろくなってきましたので、この手の本を読むのは辛いですが、それだけの値打ちのある本です。古書でしか流通していないようですが、大切な人生のパートナーへの思いをこのような形で残せるのは幸せですね。