この映画の本編を見たのは数回なのに、もう私の血肉化しているのはひとえにこのサントラの御陰です。聴くのは車で長距離走る時、ゆっくり風呂につかる時、休日にくつろいでネットサーフィンする時、等々。朝の東京を走る木戸誠、自室にこもって原爆をこつこつ作る木戸誠、人混みの中を歩いていく木戸誠…。映画の忘れられないシーンがそんな時の自分自身と重なり合って、映画の中の世界を何十倍にも体験したような気持ちにしてくれるのです。井上堯之のメロディーも見事に70年代していて、彼がいかに優れたコンポーザーだったかを知らせてくれます。映画の本編は日本映画の傑作という評価が定着しつつありますが、まだまだ一般に認知されておりません。ではその前にこのCDを。そして映画本編のファンもまたこのCDを。『サタデーナイトフィーバー』や『フラッシュダンス』のサントラのように、サントラそれ自身が映画とは別個のきらめきを持っています。そしてあの頃に思春期だった人達に是非持っていてもらいたい一枚です。