● 主人公のモハメド君は、自然を読むことができる優しい心を持っている少年。彼は、勉強が大好きで、いつもは寄宿舎制の盲学校に在籍しているのだけれど、飛び入り参加したお姉さんの通っている村の普通学校でもびっくりされるほど、よくできる。素直な性格が好かれ、徒弟として預かって面倒を見てもいいと受け入れてくれる理解者もできた。それなのに、あんまり賢明とはいえないお父さんのせいで、人生を二転三転させられ、悲しい結末を迎える。
● モハメド君は盲目のせいで神様も見えないと嘆くけれど、目が見えるせいで神を見ないで己の力を頼み独り善がりの判断をして不幸になる場合もある。モハメド君がするように、自然に耳を傾けて聞いたり手を触れて読んだりする時間を大切にすれば、もっとよい判断ができ自分も周りの人も幸せにできるかもしれないのに。
● でも、このお父さんを責めることはできない。ハンディキャップを持った子どもの親の苦しみや悩みは、その立場にない者には、共感はできても測り得ないほど深いものだと思う。ハンディキャップを持った子どもの将来が保証される社会、ハンディキャップを持っていることが差別の対象とならない社会が形成されることが必要だと思う。ラストシーンでは、まるで神のご光栄を浴びたかのように、モハメド君の手が太陽の光を浴びて動く。ぼくにも神様が見えたよと伝えるようだ。それは彼が一番望んだことだったのだから。
● M・マジディ監督の作品は、さすがに感動させられる。この作品は静かでまじめな語り掛けをするもので、『運動靴と赤い金魚』のような明るさはない。しかし、世に訴えかける度合いは高い。モハメド君と同じぐらいの年齢の小学生ぐらいから、すべてのかたに鑑賞をお勧めできると思う。