この作品は少年犯罪をテーマにした社会派ドラマであるとあります。それは部分的には正解なのですが、あまり「少年の心の闇」であるとか、「少年法の是非」などということに真剣に期待されるとがっかりされる方もいると思われます。これはやはり三池崇史監督と哀川翔さんの作品であって、破天荒な展開もするし、キャラクターも現実的ではなかったりします。
では、この作品がつまらないのかといえば全く違います。娘を殺され妻を失い、地域からは阻害され、マスコミに叩かれ、警察や法律は男に何もしてはくれませんでした。その男は自力で少年に対し復讐していくのがこの作品です。ここで描かれる少年像は「そりゃ少年だって人ぐらい殺すだろ」といったドライなもので、また主人公も現実ではありえないような行動力を持つ男です。
少年たちのあっけらかんとした欲望、父親の憎しみ。これを阻む法律やモラル。哀川翔が平凡な父親・サラリーマンから復讐の鬼と化す、その過程を見ている上で感じる苛立ちは何なのでしょうか。人間は生きている間ずっと矛盾を受け入れていかなければなりません。しかし、それを拒否する主人公と少年たち。彼らを取り巻くものたちに感じる虚しさ。三池監督は過激なバイオレンス描写とアウトローのキャラクターで人間が生きる、死ぬとはどういうことかを描いてきたように思います。それはこの映画でも共通しているものと思えるのです。主人公が、または少年がむきだしにするもの。それこそが日々気付かず忘れた気になっている自分の中にあるものを感じさせてくれます。