主人公(少年)の両親は、独立運動に失敗し殺される。両親を殺された少年の復讐と成長
の物語が、特殊な未来世界の成り立ちの謎解きを複線として、展開する。
舞台となる世界は奇抜な世界であるが、リアリティがあり、精巧に組み立てられていて
SF的に面白い。しかも、その世界の成立の過程は謎に満ちており、その謎解きも面白い。
地球がいくつか入るほどの球体が宇宙空間に浮かんでおり、その中には空気が満ちており、
いくつも浮遊都市国家が浮いている。その中心には人口の太陽があるが、その光は空気や雲
にさえぎられ周辺までは届かない。そこで各国家は近くにミニ太陽を作っている。
いくつもミニ太陽がある世界の中心にある人口の太陽こそが、いくつものミニ太陽の母
であり「太陽の中の太陽」である。
しかし、その太陽の中の太陽とそれを包む巨大な球体を、だれが何の目的で作ったのかは
謎。巨大球体の外の世界も謎。これらの謎が少しづつ明らかになり、世界の成り立ちが
見えてくる過程も楽しめる。
浮遊する都市国家間の中世的な対立と戦争も面白い。光の届かない周辺には海賊もいる。
SF的未来に中世的状況を作り出している手法も巧妙であり面白い。