「蟹工船」と並ぶ、プロレタリア文学の名著が、このように手軽に文庫本で読めるようになって嬉しい限りです。小林多喜二も徳永直も、日本の文学史上忘すれてはならない人物です。特に、彼らの作品は時代を超えて、不公平な社会への鋭い告発と共に、働く者たちに勇気と希望を与えるものです。本書、「太陽のない街」も、労働争議と、権力の弾圧によるその挫折を描いたものですが、困難と厳しい試練の中でも希望を見出して行こうとする「力」を感じさせる作品です。
ある意味で、格差と貧困が蔓延しつつある現代の労働環境は、「太陽のない街」と同じように暗闇が覆っているような状況です。「太陽のない街」、それはまさに現代の街の象徴です。しかし、光が暗闇の中で輝くように、この作品には、まさに暗闇の中で輝く光があります。その光が何であるのかをぜひ読み取って欲しいと思います。