初めて聴いた時、演奏パフォーマンスにおける、鬼気迫るテンションの高さと、全体にギスギス、ザラザラした、ある種シニカルな音の質感がとてつもなく異様でした。
特にこの作品のMVPは、ジェイミー・ミュアーの叩く、シュールなパーカッション類でしょう。いったい何を叩いているんだか(酔っ払って台所で転んだような音!?)、想像するだけで楽しい作品です。彼こそは、まさしく音の錬金術士です!個人的には、チャールズ・ヘイワード(クワイエット・サン、ディスヒート)、モーリス・パート(ブランドX)とならんで好きなプログレ系打楽器奏者です。
楽曲面では、本作収録曲がそのまま当時のライブ・レパートリーになっていることからも、全てが重要な曲ばかりです。当時の数多くのブートを聴けば、より鮮明に感じるように、このバンドは、メンバー個々の高い技量と表現力を武器に、ライブでの創造性を極限にまで高めることをコンセプトにした、ロックとしては非常に斬新なバンドでした。
プログレ界の「グルジェフ」ことロバート・フリップによって、「同じアレンジや流れのプレイは2度とやらない」というキツイ制約(規律、デシプリン?)を課された、ビル、ジョン、デヴィッドの3人は相当なストレスを受けたはずですが。この意識的な取り組みは概ね奏功しており、キングクリムゾンという知的音楽的集合体を、至高の芸術的な高みにまで引き上げているのは、決して否定できない事実です。ここまで到達したバンドは、いまだかつてないでしょう!