「結末でがっかりした」「差別のばらまきやないやろか」などとあまり評判がよろしくないレビューがあったので,迷いながらも購入して読んでみました。けれど,よくぞここまで自分と向き合った物語を書いてくれたものだと感心している。私は,結末はあれでいいと思う。自分を生んでくれた親と愛する夫との選択を迫られる状況に遭遇したとき,今日子とハジメが出したのと同じ結論にたどり着いた恋人達や夫婦のなんと多いことよ。それを差別に敗れた姿だと糾弾することは簡単である。しかし,あの結末こそ現代日本の哀れな一面を包み隠さず著してくれていると思う。例え作者自身の現実の生活と違っていても,社会の矛盾をきちんと描き,きちんと告発してくれていることが大切である。ハジメが,今日子に別れを伝える言葉をどのような思いで絞り出したか,私には痛いほど分かる。これは,読者に自分自身の差別意識と向き合うきっかけを与えてくれる良書としてお薦めしたい。