学研の「太平洋戦争」シリーズといえば、1990年代に全10巻のシリーズが発表されていました。それから約15年。新たな太平洋戦史シリーズの発刊となった訳で、購入前は「何を今更」の感がありました。しかし本書は予想を覆す内容でした。
全部で200ページ弱ですが、非常に読み応えがあります。前半が主に19世紀末から20世紀半ばにかけての日米激突にいたる道程を描きます。ワシントン会議、満州事変といった比較的有名な出来事から、大白色艦隊の来航やパネイ号事件といったややマイナーな出来事にも触れています。
後半は日米の戦略比較。日米陣営がそれぞれの対米戦、対日戦について戦前又は戦中にどのようようなビジョンを持っていたのか、それぞれの得失は何か。そういった視点から分析が進められていきます。分析内容は非常に興味深く、本書の中でも是非一読して頂きたい箇所です。
巻末付録として1941年に発刊された「写真週報」という雑誌が紹介されています。このような史料は貴重であり、当時の人々がどのような情報を得ていたのか、どのように考えていたのかを知ることができます。
太平洋戦争について考える際に新たな視点を提供してくれる書籍であるといえます。