太平洋の歴史、という視点は今まであまり持ったことがなかったために、非常に新鮮だ。
さらには、大航海時代や古代インカ史研究などで知られる増田氏の著作。
期待しないわけにはいかない。
本書は太平洋の土着民の歴史というよりも、ヨーロッパ人がどう太平洋とかかわったか、あるいは、どう太平洋を荒らしまわったかを描く一冊となっている。
だが、単に太平洋各民族を被害者とするわけではなく、彼らがしたたかにその影響を受け止め、自分の権力の増大に使ったことなども描かれている。
こういった視点は、氏のインカ史における著作などにも見られるが、歴史を冷静に、公平に捉えようとする氏の視点からは、いつも学ばされることが多い。
本書が「太平洋史」としてまとまっているとは言えないが、十分に興味深い一冊だ。