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少年時代に父を商王に生贄にされ復讐を誓った望は、肉屋に扮しながら反商の地下組織を率い、やがて西方の雄・周の文王の知己を得てその軍事力をも利用して革命を成し遂げようとする。ところが商王朝打倒が現実のものとなりつつある中、『祖霊を喜ばせるために異民族を生贄にしても心の痛みを覚えない商王朝が倒れた後、どのような王朝がくるべきか』を構想するようになる。そして周を中心とした革命に全力をそそぎながらも、自らは『民族の差異を超えた公平な邦の建設』を理想とし、ついに斉を建国する。
表面的には無名の若者が一国の主となるサクセスストーリーに見える本作だが、実は単なる復讐者から時代の構想者へと主人公が変化してゆくさまこそ宮城谷先生が本当に描き出したかったものではないだろうか。
だから本作は同じ題材をとりあげた『王家の風日』より深いし、おそらく一度読んだだけでは味わえ尽くせないだろう。
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