著者は「私は公平な観点から書いてます。」という書き方を前面に押し出しているが、端々に「日本が全て悪かった。」、「日本は侵略の意図を明治の初期から持っており、着々と準備を進めていった。」といったような表現が出ており、現在では化石的とも言える左翼思想が根底に流れている作品である。熊本城放火を児玉がやったものと決めつけていること等疑問な部分は多々あるものの、児玉源太郎本人に関しては、よく調べて書いているようである。しかしながら、児玉を取り巻く世界情勢や日本政府の状況、周囲の人々等に関する著者の認識は上記思想に基づいているため疑問な部分が多い。したがって著者がそれらの認識に基づいて記している児玉の考えや言動等についても多分に著者の考えに都合の良い表現がされている。本書を読んで児玉源太郎についてよく理解できたという感想をお持ちの方もおられるようであるが、本当に児玉源太郎や明治という時代を理解したいのなら、本書とは別の関連本を併せて読むことを強くお勧めする。