どこかの大国の大統領がのたまったのに反し、戦争は決して「ゲーム」ではない。それはいつの時代でも、どんな武器や戦略を用いても同じことだろう。国の名誉や利益、威信よりもまず先に多くの人命がかかっている行為なのだから、それを「ゲーム」などと言ったら死んでゆく者たちの立場は一体どうなるのだ。
それでもまだ、現在モニターに映し出され、私たちが垣間見るゲームじみた戦争ではなく、戦うという行為に変わりはないものの、そこに人間の熱い感情や敵に対する礼儀をわきまえた戦争がかつてはあったのかもしれないと本書を読んで思った。
ここに登場する空軍の戦闘員たちは、敵・味方違えど皆、単なる戦争屋ではなく、ただ単純に飛行機が好きで自由に空を飛びたかったものの、運悪く時代は第一次世界大戦という近代史上最初の大きな戦いに入り、自分の思い通りに行かなかった者たちばかりだ。
飛行機バカなあまり婚約者にフラれ、やけになって連合軍の空軍に入隊したリック。イギリス貴族出身の追撃王ロード。ラテン系ながら信心深い生真面目な性格のパードレ。本人は不死身だが、出撃のたび戦闘機を派手にぶっ壊すロシア人のピロシキ。また、敵のドイツ軍の中でも、騎士道精神の持ち主「レッドバロン」の異名を取るリヒトホーフェンらが魅力的だ。