歴史小説として第一級のおもしろさである。
まずは、ストーリー構成のおもしろさだろう。
明智光秀が山崎の合戦の後、実は生存し、南光坊天海と名乗って徳川家のブレーンになったという噂は当時からあった。また、天海はかつて武田信玄にも仕えていたと語ったという。明智光秀と天海が同一人物という確証はないが、そう思わせる事実も多く、決して不自然ではない。
桃丸(光秀の幼少名)、光秀、そして天海と変転するストーリー仕立てが読者の興味を引き起こさせる。
さて、読者の関心はやはり「本能寺の変」に焦点が集まる。俗説では光秀の私怨によるものと言われるが、実際には定説はなく、謎が多い。
ここで著者はその謎を史実を元に、明確な意図と計画性を持って光秀が信長暗殺を遂行したことを明らかにしていく。本能寺の変の前後に何が起きていたのか、安土城の構造は何を意味するのか、光秀は信長を殺害しなければならない明確な理由があり、決行するのは本能寺の変が起きた6月2日以外になかったのである。
本能寺の変は単なる謀反劇ではない。読者はその真相を本書を通して知ることになる。
そしてその真相に知的興奮を覚えずにはいられない!
「天眼」を読まずして「明智光秀」を語るなかれ!