本書は東京大学准教授であり、中世史を専門とする著者が
律令体制が揺らぎ始めた平安末期を起点に
時代の推移とともに、天皇の地位にどのような変化が生じたのかを
実証的かつ論理的に論じる意欲作。
律令などの文言や抽象的な概念を重視せず
日記や行政文書などから伝わる実体を元に議論を展開するので、
専門的な内容ながらも理解が容易にできます。
また、権門体制論や「後醍醐=異形の天皇」論など著名な先行理論を
バッサバッサと論破していくのも見所。
権門体制論などに乗り切れなかった方は必読です。
個人的に興味深かったのは、
6章で語られる九条道家の治世や皇統の並立―
ほとんど勉強してない時代だったので、
時間のあるときに、論文等を読んでみようと思いました。
位階や行政文書に関する記述にページを割きすぎたためか
室町後半以降の記述が駆け足だったり
参考文献などが上げられていないことは残念に感じましたが
知的興奮に満ちた本書。
迷信や感情に流されることなく
論理的に歴史を見つめたい方に強くおススメです。