例えば鶴見俊輔の「天皇百話」などで戦後の象徴天皇制の歩みをたどると、薄ぼんやりと見えてくるものがある。それをアメリカの影ということもできるし、アジアとの関係で言えば戦前の大東亜帝国の残影ということもできるだろう。丸山政男の「顕教・密教」の例えにならえば戦後の天皇制の顕教は「平和を祈る天皇」であり、密教こそまさに「アメリカの影としての天皇」であった。
本書は天皇とアメリカの表裏一体・不即不離ともいえる関係をこれ以上ないというほど明晰に語りきって余すところがない。論文ではおそらく筆が鈍る部分もあったかもしれない。対談という形式が生きたと思う。
印象に残ったフレーズを少し紹介する。
「アメリカは、アメリカによって支配された国のナショナリズムを認めるだけでなくて、意図的にその推進、育成をした唯一の帝国である。(テッサ)」
「新米的な権威主義政権が、今度は植民地主義の忘却を支えていく複雑な構図が見えます。(中略)日本はそれらの国々と、みずからが侵略した過去には正面から向き合わないまま、戦後の関係を結ぶことができた。(吉見)」
「日本からオバマのようなリーダーが登場するとしたなら、それはきっと沖縄からではないでしょうか。
(テッサ)」