津神が彼に声をかけなかったのは、彼の仲間が自身の欲望と彼への思いとで葛藤していることを知ったからか。それはどのような思惑からか。黒い表情は関係あるのか。その思惑は叶うのだろうか。中釜の連絡で、仲間は彼が出ないことを知って敵側につくわけだが、それでも気にかけ続けるのだろうか。
しかし、今回の東京編はあまり見るべきものがない。では、大阪は面白いかというと、これも似たようなものだ。脇迫がやや美形になったくらいだ。瞬と鳴海マスターの決着は長すぎだが、意識的に引き伸ばしたからにはさぞかし意外性のある展開が待ち受けているとちょっと期待していた。それが東京編で一気に「だらけた引き伸ばし」だったと思い知らされる。仲間が敵側につくことも早くから暗示があったわけだし。なぜ、こうなってしまったのか。作者コンビはネットにヒントを得ているという噂も本当なのかもしれないと思えてくる。正也・彼・田浦家のすれ違い、熱海編、彼の棄権と中釜らの土下座の状況と同じような唐突感がする。噂が本当かはともかく、このような唐突感は作者コンビらしくない。展開もキャラの絵も違う人が描いているみたいだ。状況は今後変わるかもしれないから、今はまだ「黒歴史」とは名付けない。
そして一見ハッピーエンドに思える彼への解決策も、実は今までの辛さに打ち勝てない悲劇なのだ。作者に考えがあり、新しさを狙ったものだとしても、変えてはいけないもの・やってはいけないことがある。あっと驚く解決方法を思い付こうとしてつけなかったから、こうした感が漂う。粗さも目立つ。泥酔状態で辛い状況を「雅」のマスターに話したのが本当だとしても、体の異変や大学生活と麻雀との両立ができなかったことまで、話せるだろうか。マスターだけでなく肉親にも。話せたところで、相手が「好きにしなさい」や「ガンバレ」と返せるものだろうか。またその言葉を善意と受け取るほどの余裕があるだろうか。お父さんたちは本当に納得したのだろうか。海輝を安心させる嘘とはいえ、誰よりも刺激が好きな性質で病院の裏方や手伝いができるだろうか。このあたり「親しい間柄・肉親だから」「理系だから」という先入観で描いたようだ。住所や電話番号を知っているなら、もっと早く海輝だけで訪ねてこい。少なくとも渋谷戦と絡ませるな。これ以外の解決策が思い付かないなら、引き伸ばすな。一気に静香と「雅」マスターが嫌いになってしまった。
健次郎をある程度は許そうとしたのは、もう一度戦いたいという刺激からだったのだろう。しかし、健次郎は二度と打たないという儀式を行って失望させてしまう。しかし、同時に彼らが本心から蔑んだのではないということにも気付いたようだから、留まって欲しい。自身の欲望を選びながらも、「犠牲」にしてしまったと思い続けている仲間のためにも。