前巻の「運の背負い」が辛かったからか、この巻で活躍するのは若い精神の人々だ(本編は今まで手がけてきた作品の逆を狙っているから、風刺だろうと若者たちの苦しみを浮かび上がらせるのが目的だろうと大人たちが優位)。居眠り運転で義足になり正吉の叱咤で復活するタクシー運転手・昭、雀荘を襲って金を巻き上げる保育士とその友人(それにしても顔や靴の状態を記憶できるなんて、義明は過去に記憶術でも学んでいたのか?)、ラーメン・定食の店と麻雀とを両立させる恭平…。よっちんが申し訳程度の出番しかないのは展開の都合上か、他の理由からか。
恭平は冷静と勢いとを両立させてもいる。本編では出そうで出ないタイプだ。みんな初めはなりそうな要素を備えてはいるが、出るたびに削ぎ落とされてしまう。外伝でも何ヶ月に一度出ればいい方。しかし最近の展開では、このような人は出ないだろうと思っていた。それが破られたことも、若者にさせたのも意外だった。「紅蓮」の山野さんも似たような性格で荒神会からも「小僧!」と呼ばれたが、実は見かけよりも年は行っていたのだから。しかし、飲食関係のシーンが減ったとはいえ、ラーメン…。外伝では、麺類が何度も出てくるが、和食は料亭や居酒屋のおつまみ、洋食は豪華なものというのがほぼ決まっている。「オールド・ボーイ」ほど多種類でなくても、食べるところはなくても、うまい棒の包みを剥いたりパンにバターやクリームを塗ったりするところも見てみたい。デパートの屋上で谷口さんがソフトクリームを持ってるけど。
相変わらず犯罪に手を染める理由がよく分からないが、男性キャラはかっこ悪さの中にもある種の良さがあるし顔の描き方も変化があるから、まだいい。女性キャラはひたむきさはあっても、最終的にはいかにも女性らしいところに落ち着いてしまう。何分の一かに切ったジャガイモ形の目に睫毛をつけるから、穏やかな顔が少ないのだろうか。本編のキャラたちが老若男女問わず穏やかな顔をする余裕もないように。ゆかや静香はどこに向かうのだろう。「男性」にのみ一途になるのだけはやめて欲しいのだが…。
そして、もう一人。本編で何十巻にも渡って理不尽に辛い想いをさせられてきたキャラクター。彼は外伝のキャラたちが選んだような道を選ぼうと決める様子が2009年秋に描かれたが、そのままでいいのだろうか。その選択は外伝のキャラなら納得はできても、本編で行うとやはり醒める。今まで全く違う雰囲気でやってきたではないか。決めてからの出番はないが、状況が変わることを信じよう。