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天災と国防 (講談社学術文庫)
 
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天災と国防 (講談社学術文庫) [文庫]

寺田 寅彦
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

天災の被害を大きくするのは、人間である!
地震、津波、台風……。文明が進むほど天然の暴威は、その劇烈の度を増す。周期的な天災発生は自然の鉄則と考え、平時の充分な準備の必要性を説く古典的天災論。

(寺田寅彦の災害に関 連する論考のアンソロジー。解説・畑村洋太郎)

内容(「BOOK」データベースより)

標題作「天災と国防」ほか、自らの関東大震災経験を綴った「震災日記より」、デマに対する考察「流言蜚語」など、地震・津波・火災・噴火などについての論考やエッセイ全十二編を収録。平時における備えと災害教育の必要性など、物理学者にして名随筆家ならではの議論はいまだに有効である。天災について再考するための必読書。

登録情報

  • 文庫: 208ページ
  • 出版社: 講談社 (2011/6/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062920573
  • ISBN-13: 978-4062920575
  • 発売日: 2011/6/10
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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大正末期から昭和初期にかけて書かれた寺田寅彦の災害関係随筆を集めたもの。東日本大震災後の2011/6にまとまられた、悪く言えば便乗本だが、元ネタが良質なこともあってか良くまとまっている。

中身であるが、一言で災害といっても地震、台風、火災、津波、など取り上げた範囲は幅広い。つい、地震や津波のところに目が行ってしまいがちだが、さすがに寺田寅彦だけのことはあって、それだけではなくなかなか含蓄を含んだ内容だ。

冒頭付近の例で言うと、たとえば;

P28あたり、「・・・ラッシュアワーの電車の乗降に際する現象を注意してみていても・・・(中略)・・・東京市民は、骨を折ってお互いに電車の乗降をわざわざ困難にし、したがって乗降の時間をわざわざ延長させ、車の発着を不規則にし・・・」
80年前の日本はこんなだった。今でこそ、中国では電車の乗るとき並ばない、なんて笑ってるが。

P41あたり、「・・・誰の責任であるとか、ないとかいうあとの祭りのとがめたてを開き直って子細らしくするよりももっともっと大事なことは、今後いかにしてそういう災難を少なくするかを慎重に攻究することであろう・・・(中略)・・・しかし多くの場合に、責任者に対するとがめたて、それに対する責任者の一応の弁解ないしは引責というだけでその問題が完全に落着したような気がして・・・」
これは、柳田邦夫が50年後にも言い続けなければなかったことと同じである。

地震、津波、から離れてみても、防災、安全確保、といった観点の良書であることは間違いないだろう。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
寺田寅彦氏は、悲惨な自然災害には、過去の教訓を無視した人災が大きく影響する結果となり、それが2千年来繰り返されていると断じています。

昔の日本人は子孫のことを多少でも考えない人は少なかった様である。それは実際いくらか考え映えがする世の中であったからかも知れない。
これから先の日本ではそれがどうであるか甚だ心細い様な気がする。2千年来伝わった日本人の魂でさえも、打ち砕いて夷狄の犬に喰わせようと言う人も少ない世の中である。一代前の言い置き等を歯牙にかける人はありそうもない。
しかし地震や津波は新思想の流行等には委細構わず、頑固に保守的に執念深くやって来るのである。科学の法則とは畢竟「自然の記憶の覚え書き」である。自然ほど伝統に忠実なものはないのである。
それだからこそ、20世紀の文明と言う空虚な名を恃んで、安政の昔の経験を馬鹿にした東京は1923年の地震で焼き払われたのである。

解説者の畑村洋太郎氏は、その寅彦氏の述懐を反映して、福島第一原発の深刻な事故について次の様に解説しています。

日本全国には原発反対運動と言う大きな縛りがある。電力会社は反対派に対抗する為に「原発は絶対に安全」と言う建前を貫き、その根拠を国の定める外部基準に求め、盾にする様なことをして来た。しかし原子力を運用する組織がこれを前提に動いていたら、これ程危険なことは無い。福島第一原発の深刻な事故に結びついたとすると当然の成り行きとしか言いようが無い。
安全対策と言うのは危ないことを前提に動いているから効果があるのである。想定外の問題が起こった時に正しく対処するには、進むべき道を自分で考える為の内部基準が必要となる。内部基準が無い場合は、想定外の門題が起きると大抵は思考停止状態に陥る。
福島第一原発で全ての電源が喪失すると言う想定外の事故が起きた時、何も手を打たず、当然予想できた水素爆発が起こるのを許してしまった。そうすると、この事故は想定外の問題に対して対処出来る内部基準を備えることを怠った組織不良によるものであることは間違い無いのである。
災難であれ失敗であれ、辛い厭なものだが、これらは使い様によって人間を成長させる糧にすることも出来る。自然災害による試練は、地球に住む限り避けては通れない宿命である。そうであるなら、寺田の言う通り、寧ろこれらと向き合って、多くの知恵を授かる様にした方が良いだろう、それが賢い生き方と言うものである。

従来の想定内の事故に対する「制御安全」に拘泥することなく、他国からのミサイル攻撃に耐え得る「本質安全」を目指して聖域なき奮闘努力をして頂きたいものだと思っております。
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