本書は、フェルマーの最終定理をアンドリュー・ワイルズが解くまでの流れを、数学の歴史を交えながら書かれたものである。
私は理数系ではないが、それでも、数学の美しさや深遠さを、表層的な柄も垣間見ることが出来たこの本を素晴らしいものだと思う。
様々な数学者たちの築いてきた財産を、天才たちが順繰りに積み上げて、最後に到達したのが、フェルマーの最終定理の証明であったのだ。
フェルマーの最終定理は非常に有名なので、数学が苦手な私でも知っていたが、この証明には20世紀の知を注ぎ込まなくてはならないことを知って、驚いた。
単純で、明快に見える定理の奥深さ…数学の世界の面白さを感じ取るものとして、本書は素敵な一歩を提供してくれるものと私は信ずる。
果たしてフェルマーは、本当に「余白が少ない」から証明をしなかっただけなのか、それとも恐るべき偉大な証明を有していたのか…そんなことを考えるだけでも、数学的ロマンが目の前に広がるようではないか。
数学の得意なあなたも、苦手なあなたも、是非、その数学の魅力な世界を見通してみてはいかがだろうか。
本の内容には一切関わりの無いことではあるが、私のこだわりであるから、一つ述べさせていただく。
実は、私は本書を数年前にも読んだことがあるのだが、その時からこの本を素敵な本だと感じていた。
ただし、前回は通常の本で、今回は文庫で読んだ点が異なり、そのことが私には大きな影響を与えている。
文庫の表紙に気品が全く無いのだ。文庫でない方には気品があったのに。
その点だけが、マイナスであり、この文庫を本棚を彩ってくれる一冊とはしにくい残念な点である。