本書で主張される天才政治とは、エリート大学出身の高学歴者たちに権力を与える政治を意味するのではない。知識と知性は異なるものであり、知識人と天才は異なるからだ。
本書では、天才とは、「良識、想像力、総合力」の全てを有する者と定義されている。ゆえに、労働者や農民のなかにも天才は存在する。
現在行われている「完全民主主義」では、平均的知性をもつ人々、すなわち、先を見通す能力がない人々が必然的に最多数派になるため、一人の良心的な天才の声は、衆愚の声にかき消されてしまう。
そこで著者は、平均以上の知性レベルを有する者にのみ、選挙権と被選挙権を与える「選択的民主主義」を提唱している。つまり、天才政治とは、選択的民主主義によって、これらの知性が高い人々に権力を与える政治を意味する。
天才政治についての詳しい説明の他、労働の廃止、女性の地位、人口問題などについても、画期的な分析と提言がなされており、読むたびに新しい発見がある。しかもわかりやすく、面白い。
政治に関心がある人、現在の衆愚政治を何とかしたい人、戦争をなくしたい人、貨幣と労働をなくしたい人、これらの問題を根本的に考えたい人、全ての人に、ぜひ読んでもらいたい。