本書は、ガロアの理論を、中学生にでも理解できるように解説しよう、という試みであり、ある程度まで、著者の意図は、達成されているといって良い。特に、第6章までは、かなり懇切丁寧に書かれており、2次方程式、及び3次方程式に解の公式が存在することと、ガロア拡大体の自己同形写像のつくる群の構造との関係が、かなり判り易く書かれている。特に、他の教科書や解説書では、明記されないことが多い、細かい点を押さえてあるのでありがたい。同じ紙面で、これ以上判り易く書く事は無理かもしれない。それだけに、第7章の、5次方程式に関する議論は、かなり端折られている感を否めない。まあ、5次対称群が可解でないことの証明を、中学生に判るように書くのは、かなり無理があることは確かであるが、一般向けに、高等数学を、わかり易く解説することにかけては、第一人者の小島氏が、ここをどう料理するか、期待していただけに、ちょっと残念。まあ、それでも、ここまで頑張った、小島氏の奮闘にエールを送るべきであろう。
いくつかの誤植を見つけたので、列記しておく:
54ページ、3行目:全ての有理数 → 全てのKの数
54ページ、14行目:f(\alpha+\beta)=f(-\alpha) → f(\alpha+\beta)=f(-a)
216ページ、11行目:普通被覆空間 → 普遍被覆空間
追記:以下も誤植であろう:
78ページ、11行目:e(f(x))と写像 → e(f(x))という写像
147ページ、最終行:丸3 → 丸2
227ページ、囲み内:空間X’から → 空間X’を
それから、88ページに登場する「キラル」という用語はchiralで、物理学では英語発音の「カイラル」ということが多い。212ページに登場する「壁紙群」(wallpaper group)は、日本語では「文様群」と呼ばれることがある。
参考にまで。