著者は1940年東京生まれ。電通マンを経て独立し、自ら「天才写真家」と称する個性豊かな写真家であり、その作品は海外からも高く評価されている。本書は、そのアラーキーが本音で語る写真の世界への旅のガイドブックである。どのレンズを選ぶのか、「あの写真」はどのカメラで撮ったのか。身近な人や街、仏像からヌード、愛するものをどう撮るか、発表するか。その写真術のすべてを、著者は惜しげもなく明かしてくれる。「レンジファインダー」「ヘキサーの35ミリ」など専門用語も多数登場するが、欄外に細かく注釈があるので、長く写真を撮っている人にも写真をはじめたばかりの人にも役立つはずだ。
また、撮影に興味がない人には、著者の最新作や、随所に散りばめられた写真哲学やエッセンスに触れるだけでも著者の人生観を見ることができるので、エッセイとして楽しめる。「写真を撮るっていうのは簡単に言うと人づきあい」、「去り際のタイミング、ここが憎まれるか愛されるかの分かれ道。何かいい風を残していくということが問題なの」などの言葉には、著者の人生に対する熱く優しいまなざしと人間臭さが自然と伝わってくる。(増渕正明)
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