様々な分野(文学・哲学・音楽・絵画)の天才たちが持つ逸話を、アスペルガ−症候群の示す症状(社会性の欠如・狭い興味関心と強迫観念・率直さと素直さ等)に照らしてまとめたもの。自らの抱えた認識の歪みを、芸術的独創性にまで昇華させた天才(と呼ばれる人)たちの深い苦悩が窺えます。
それにしても こうした研究自体が、人間のもつ能力の個別性を前提とする欧米文化から生まれたことはある程度必然的であるとはいえ、訳者あとがきにある「“日本”ではASの人は'空気の読めないKYさん''奇異な犯罪も犯しかねない人'として見られている現状を打破するのに、「天才にもASの人がいる」ということを紹介したかった」という一文は、すこし残念な気がしないでもありません。