「ソニン」シリーズ外伝です。
完結した本編でソニンと共に活躍したのが北国巨山の王女イェラでした。影を帯びた孤高の存在として描かれたその姿は、ソニンとの交流を通して次第に人間味を帯びて行きましたが、本編のエピソードだけでは彼女の人間性の成り立ちも含めて描ききれない面が感じられました。ところが、3年近く経って登場したこの「外伝」では・・・何とそのイェラの生い立ちが描かれています!
久しぶりですので正直ちょっと心配だったのですが・・・読んでみると・・・これは素晴らしい!
厳しい自然環境の巨山、その国を支配する王家の正妻に初めて生まれた子供がイェラだったが、「男子」を熱望する父王と母にはその存在を無視されたも同然の子供時代を送る事に・・・。
乳母や近しい者との触れ合いや本に慰めを求め、自分の立場に達観して周囲に覚めた眼差しを向けるだけの孤独な日々を送っていたが、父王譲りの利発さに恵まれた少女はいつしか異母兄弟たちの中で次第に頭角を現わしていき・・・遂にはある事件をキッカケに・・・というお話です。
心通わす者との出会いと辛い別れ・・・王家の人間であるが故に経験する、過酷な経験がこれでもかと描かれていき、気丈なイェラの性格が形づくられていく様子が手にとるように分る内容と言えます。
愛憎相半ばする両親との葛藤は苛烈とも言える性格に、自然を好み、愛犬ムサや愛馬との触れ合いや領民との交流は落ち着いた穏やかな面に・・・そして辛い別れの経験は・・・のちのソニンとの出会いで見せる孤高の中の人間味に繋がるのでしょうか・・・。
また、「外伝」とは言っても、本編で描かれていた様々なエピソードとの関係もキチンと書かれており、シリーズ全体の構成も含めて「三国」の世界観が細部までしっかりと考えられていることも分かって感心します。ソニン本人も少しだけ登場しますが、そういえばこんな話があったな〜と思わず唸る形なのでビックリさせられます!
菅野雪虫氏久々の作品を喜ぶとともに、これからもソニンの世界を書き続けて欲しいものだと思います。次回はちょっと成長したソニンとイェラの再会を読みたいですね。