学生運動を「富の不公平な分配と党・政府指導部の腐敗に対する異議申し立て」とする趙紫陽・党総書記と、一部のブルジョア反動分子が策動する「動乱」とみる李鵬首相の対立。「彼らの目的はあなたの追い落としです」という李首相の巧みな使嗾(しそう)に揺れる小平の胸中。しかし、最後には「少数派は多数派に従うのだ」というツルの一声で趙ら穏健派を押さえ込む老最高指導者の頑迷さ。そして、その次にくる趙の失脚と江沢民の抜擢。本書は中南海の「垂簾」の奥で繰り広げられた密事を、「八老」のしわぶきまで聞こえてきそうな生々しさで再構成しているが、これは内部文書がなければ絶対になし得ない復元作業である。
その内部文書は編者の張良(チャンリャン=仮名)によってアメリカに持ち出されたものとされている。2001年1月、アンドリューズ・ネイサン、オービル・シェル両教授の監修で英語版が出版されるや、欧米、香港、台湾のジャーナリズム界に一大センセーションを巻き起こしたが、同時に文書の真偽をめぐる論争も活発に展開された。その論争については、シェル教授の「あとがき」に詳しい。あるいは、この膨大な文書の中にデマゴギー的夾雑物が紛れ込んでいるかもしれない。しかし、ここに記録された学生たちの異議申し立てのエネルギー、中国社会を深く割いている矛盾、中国共産党を骨の髄までむしばむ腐敗、権力抗争の陰惨さは、いささかの疑念も差しはさませない真実の力を持っている。(伊藤延司)
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清代の末期、中国は「洋務運動」という改革をしたが、目的は外国の技術などを習って、封建的な専制統治を維持するものだ。だから最後の失敗は当たり前だ。改革は完全の過程で、民主主義の政治制度を含む全部採用か。あるいは、先進的技術までも拒否する全部反対か。日本の明治維新が経済、軍事のほかに、政治の改革も始めたじゃないか。
今の中国は、この同じ間違いを二度する道を歩いている。経済の開放は共産党の専制を維持するためなんだ。この改革の未来は、あんまり楽観的じゃないと思う。