毎日が刺激的・でもココロのどこかでちょっと退屈している二人の少年と、死に至る病を抱え夫にも裏切られた美しい女性、この三人のあてども無いロードムービー。
あてども無い、と書いたけど「天国の口」という架空の場所を目指すと少年達はウソを言う。女性は、ウソだと気づいていながら架空の旅にのる。(でまかせではあるけれど、三人とも「あって欲しい、あるかもしれない。」と感じていたのだろう。)
旅の途中で出会う人々、ちょっとした諍い、どれもが瑞々しくて懐かしい。最新の技術を駆使した美しい映像ではないけれど、三人の笑顔が太陽の下で眩しく感じる。
ラスト付近、海辺に辿り付いた三人のとった行動は衝動的・刹那的に感じるかもしれないが何故か美しくて哀しいです。マリベルにとっては人生の終わりの片道切符、ガエルとディエゴにとっては少年でいられた最後の夏の片道切符。
復路は描かれない。それぞれに訪れたのは「終わりの楽園」だっただろうか?ガエルとディエゴのラストの会話が、若くて、無謀で、繊細で、傲慢で、そして身一つだった頃を懐かしく思い出させ、また切なくなる。
人生で出会う「成長」という名の初めての悲哀と「死」という全く正反対の絶対的悲哀を自然な語り口で絡めてある秀作。
マリベルの自然な美しさとガエル&ディエゴの一見屈託が無い笑顔の影に浮かぶ微かな陰りが見事です。
只、全年齢にお勧め出来ないのが唯一残念。(ある意味若過ぎる人には難解でもありますが。)
「天国の口、終りの楽園。」原題は忘れてしまったけれど、邦題のセンスもいいですね。